結論から書きます。Sunoで男女デュエット曲を作るなら、パート交代は2行以内、タグは[Male][Female]のシンプル指定、そして歌詞のほうをSunoに合わせて書く。これが試行錯誤の末にたどり着いた、現状の最適解です。
私はAIで作った曲をYouTubeで公開しています。今回、男女ふたりのキャラクター(エリオとセリオ)のデュエット曲に挑戦しました。ところが「声が途中で入れ替わる」「歌い分けを細かく指定したら歌じゃなくなる」と問題だらけ。この記事はその検証の全記録です。
同じところでつまずいている人が遠回りせずに済むように、効かなかった方法も隠さず書きます。
先に結論:効いたこと・効かなかったこと一覧
効いたのはこの4つです。
- パート交代を2行以内にする
- タグに役割語+性別+名前まで書く(例:[Verse: Male Vocal – Elio])
- 歌詞の先頭に「男女デュエットの曲」だと宣言するメタ情報を入れる
- 歌詞を全部ひらがなにする(漢字の誤読対策)
逆に、効かなかったのがこちら。
- 4行の長いパートをタグ1つで同じ歌手に歌わせる
- 「続き」を表すタグ([〜, continued])
- 声質を長く書いたタグ(Male vocal, strong and clear など)
- ユニゾン(ふたりが同じメロディを一緒に歌う部分)の完全な制御
ここから順番に説明します。
やりたかったこと:男女ふたりの掛け合いデュエット
私のチャンネルには男女ふたりのキャラクターがいます。エリオ(男性)とセリオ(女性)。それぞれの声はSunoのボイス機能(Persona。気に入った声を登録して固定できる機能)で登録済みです。
デュエットの作り方はこうしました。エリオのボイスを適用したうえで、「その他のオプション」の中にある「ボーカル性別」で女性を選択。歌詞側に[Male][Female]のタグを付けて、どこを誰が歌うか指定します。理屈のうえでは、これで掛け合いになるはずでした。
ボイス機能の基本的な使い方は、Sunoのボイス機能の記事にまとめています。
問題①:4行の長いパートは途中で声が入れ替わる
最初につまずいたのがこれです。エリオに4行続けて歌ってほしくて、タグ1つで4行をまとめました。すると3行目あたりで勝手に別の声が入ってきます。エリオのパートのはずが、後半2行だけセリオの声で歌われる。こんなテイクが何度も出ました。
「同じ歌手の続きだよ」と伝えるために[Verse: Male Vocal – Elio, continued]のような「続き」タグも試しましたが、Sunoには通じませんでした。パートの混同は直らず、この方法は撤廃しています。
問題②:細かく分割しすぎると「歌」ではなく「朗読劇」になる
長いパートがダメなら、細かく切ればいい。そう考えて2行ごと、ところによっては1〜2行単位でタグを付け直しました。たしかにパートの取り違えは減ります。ただ、出てきたのは歌というより朗読劇でした。メロディの流れがぶつ切りになり、セリフの掛け合いを聞いているような仕上がりになったのです。
皮肉なことに、タグをほとんど付けずにそのまま生成したテイクが、いちばん「歌」として自然でした。ここにSunoデュエットの本質的なトレードオフがあります。タグを減らせば歌は自然になるがパート分けは効かない。タグを増やせばパート分けは効くが歌から遠ざかる。両方を同時に取ることはできませんでした。
ちなみに、声質を長く指定したタグ(Male vocal, strong and clear のような書き方)も試しましたが、指定が長いほど何を優先するのか曖昧になるようで、むしろ効きませんでした。
効いた工夫①:タグは「役割語+性別+名前」まで書く
タグ自体は、シンプルな[Male]だけより[Verse: Male Vocal – Elio]のように役割語・性別・固有名詞まで書いたほうが認識率が上がりました。
いちばん効果を感じたのは、歌詞の先頭に (Elio and Celio duet, alternating male and female vocals, Japanese lyrics) というメタ情報を1行入れて、「これは男女デュエットの曲だ」と最初に宣言しておくことです。歌詞の冒頭にデュエット宣言を入れる方法は、海外のユーザーの間でも定番になっています。なお私はスタイル欄(曲の雰囲気を指定する欄)の冒頭にもデュエット表記を3回重ねていますが、正直こちらは「効いている気がする」というおまじないレベル。スタイル欄はあくまで誘導程度で、歌い分けの本命は歌詞側のタグとメタ情報だと感じています。
そのまま使える汎用の宣言文はこちらです。これを歌詞欄のいちばん上に1行入れてください。日本語の曲なら Japanese lyrics も足しておくと安心です。
[This song is a duet featuring one male vocalist and one female vocalist]
(この曲は男性1人・女性1人のデュエット曲です、の意味)
参考までに、私が「軌道」で実際に使ったスタイル欄の全文がこちらです。冒頭の3行が例の「デュエット表記の重ねがけ」です。
[duet male and female]
[duet]
[duet male vocals and female vocals]
mid-tempo J-pop duet, male and female vocals singing together in chorus, emotional and warm, dreamy night atmosphere, soft piano and strings, hopeful and tender
効いた工夫②:パート交代は必ず2行以内
4行まとめて任せず、2行以内でパートが交代する構成に変えました。これでパートの混同は目に見えて減りました。「続き」タグで無理に伸ばすのではなく、そもそも長く歌わせない。消極的に見えますが、これがいちばん確実でした。
実例をお見せします。制作中のデュエット曲で、もともとVerse1はエリオが4行歌う構成でした。
【修正前】
[Verse 1(エリオ)]
前だけ見てる 振り返らない
燃えるように 進むだけだ
誰かのペースなんて 知ったことか ←何回生成してもここでセリオの声に化ける
ただ、まっすぐ 行くしかないんだ
タグを直しても、生成をやり直しても、3行目で声が変わってしまう。そこで「声が変わる位置を直す」のをあきらめて、3行目からセリオが歌う前提で、歌詞そのものをセリオ用に書き換えました。
【修正後】
[Verse: Male Vocal - Elio]
夕焼けが 背中を押して
足を止める 理由がない
[Verse: Female Vocal - Celio]
その背中を 見つめるたびに
そっと心 揺れていた
前へ進むエリオの2行を、その背中を見つめるセリオの2行が受け止める。声が変わる位置に合わせて役割ごと歌詞を書き換えたことで、混同がなくなっただけでなく、掛け合いとしても自然になりました。この判断が、のちの「2行交代」ルールの原点です。なお、実際にSunoへ入力するときは、この歌詞を全部ひらがなに変換しています(理由は工夫③で)。
効いた工夫③:歌詞は全部ひらがなにする
デュエットとは別の問題ですが、漢字の誤読にも悩まされました。「交わらなくても」を正しく読んでくれない。そこで歌詞を全部ひらがなに変換したところ、誤読は解消しました。
ひとつ注意点があります。助詞の「は」「へ」は、ひらがなにすると「ha」「he」と発音されることがあるため、音のとおり「わ」「え」に直しておくのが確実です。白状すると、私はこのチェックを1箇所忘れていました。「それでもいまは」は本来「それでもいまわ」と書くべきところ、そのまま入力していたのです。全部ひらがなに変換したあと、「は」と「へ」だけ検索して見直すことをおすすめします。
効いた工夫④:歌詞の口調をキャラクターに合わせる
これは発見でした。エリオのパートは言い切りの口調、セリオのパートは受け止める口調。そんなふうに歌詞の性格をパートごとに書き分けると、仮に声が多少混ざったテイクでも、ちゃんと「ふたりの対話」として聞こえるのです。
声の制御には限界があります。だったら、掛け合いのテンポや人格を歌詞そのものに持たせておく。保険としてかなり有効でした。
いちばんの学び:タグをいじるより、歌詞をSunoに合わせて書く
最初の私は、理想の歌詞をまず書き、生成してから「指定と違う歌い分けになった箇所」のタグをごちゃごちゃ直していました。これが泥沼の入り口です。直しても直しても、モグラたたきが終わりません。
発想を逆にしました。あとから切るのではなく、最初から「2行で意味が完結する歌詞」を書く。間に相手のパートを挟んでも、それぞれのパートが文として成立するように作詞する。Sunoのクセにこちらが合わせるわけです。
遠回りに見えて、結局これがいちばん速い。デュエット作りで持ち帰ってほしいことを1つだけ選ぶなら、これです。
ユニゾンだけは制御できない。回数で当たりを引く
最後まで残った課題がユニゾンです。サビでふたりに一緒に歌ってほしくて、[Chorus: Both singing together in unison]と指定し、スタイル側にも singing together in chorus を入れました。それでも掛け合いに分解されたテイクが出ます。
ここは割り切りました。タグで精度を上げつつ、最後は複数回生成して良いテイクを選ぶ。いわゆるガチャ前提です。
どうしてもダメな場合の代替案として「パートごとに別々に生成して、動画編集ソフトで合成する」方法も考えています。ただし繋ぎ目が不自然になるリスクがあり、こちらはまだ未検証です。試したら追記します。
ここで紹介した「2行交代」「名前入りタグ」「全ひらがな化」で実際に作ったデュエット曲がこちらです。太陽(エリオ)と月(セリオ)が初めて一緒に歌いました。
まとめ:Sunoのクセに寄せれば、デュエットは作れる
Sunoは「歌の自然さ」と「パートの制御」を両立させるのが苦手です。だからタグで力ずくの制御を目指すより、2行交代・シンプルなタグ・分割前提の作詞で、Sunoが歌いやすい形にこちらが寄せる。これが現時点の私の結論です。
それでも男女の掛け合いが形になったときは、ソロ曲とは別の嬉しさがありました。デュエットに挑戦する人の参考になればうれしいです。
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